Beating 第17号
「5分でわかる学習理論講座」
第6回:他人との学び合いを通して、自立した学習者を育成する〜「相互教授法」
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東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」
メールマガジン「Beating」第17号 2005年10月27日発行
現在登録者738名
「5分でわかる学習理論講座」第6回:
他人との学び合いを通して、自立した学習者を育成する〜「相互教授法」
http://www.beatiii.jp/
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みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか?
今回の公開研究会は、11月12日(土)に開催します。内容詳細は本文で。
私のまわりでは風邪が流行っているようです。朝晩はもう寒いくらいに
なってきました。体調を崩しやすい季節ですので、ご注意くださいね。
元気にみなさんとお会いできること、楽しみにしております。
では、Beating第17号のスタートです!
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┃★CONTENTS★
┃■1. 特集:2005年度Beating特集「5分でわかる学習理論講座」
┃ 第6回:他人との学び合いを通して、自立した学習者を育成する
┃ 〜「相互教授法」
┃
┃■2. 【お知らせ】公開研究会「BEAT Seminar」2005年度第8回:
┃ 11/12(土)開催!
┃
┃■3. 「BEAT研究 Who's Who」
┃ 〜BEAT研究者の素顔と、オススメWebサイトのご紹介
┃
┃■4. 編集後記
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■1. 特集:2005年度Beating特集「5分でわかる学習理論講座」
第6回:他人との学び合いを通して、自立した学習者を育成する
〜「相互教授法」
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今年度のBeatingでは、BEATの研究をより理解していただくために、背景と
なっているさまざまな学習に関する理論を、1年間でみなさんとともに学ぶ
ことを目的とした「5分でわかる学習理論講座」を開講しています。
1カ月にひとつずつすぐに応用可能な理論・方法を中心に、情報技術を用い
た学習環境に関する注目理論・キーワードについて解説していきます。
「なにそれ?ハツミミ?」という方も、「なんか聞いたことはあるけど…」
という方も、「すでに知ってるゾ!」という方も、それぞれにきっと新し
い発見があるはずです。
「学習理論についてちょっとわかってくると、実践がしたくなるなあ」
このメルマガをお読みになっている読者の方で、こんなことを思っている方
がいるのではないでしょうか。この「5分でわかる学習理論講座」も早いも
ので、今回が「第6回」となります。
学習理論の大きな流れから、学びの集団(実践共同体)といったことまで、
いままでは比較的大きな話がメインでした。前回の認知的徒弟制もそうで
したが、これからはいままでより、小さな方法論に近いものを紹介してい
きたいと思います。
「最初から、そこを聞かせてヨ!」
という方もいらっしゃるかと思いますが、ここからの話がおもしろいのは、
これまでの大きな理論があってのことです。もととなっている理論にふれる
こともあるので、ぜひ復習の機会としてください。幸いバックナンバーは
ウェブに載せられているので、参照ポイントも載せておきたいと思います。
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他人との学び合いを通して、自立した学習者を育成する〜「相互教授法」
今回ご紹介するのは「相互教授法」という方法論です。こちらの教授法も、
いままでと同様に「相互作用」、「学習における他者」ということがキー
ワードになります。では、どういった教授法なのでしょうか。
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●ヴィゴツキーの理論の影響
「相互教授法」とは、読んで字のごとく、「相互に」、「教えあう」ことを
取り入れた教授法です。
この教授法は、1984年にブラウンらによって提唱され、貧困層の子どもたち
の読解力をつけるために行われました。
この手法は、短い文章を題材として、先生と生徒が会話をしながら、
「分からない言葉などを明確化する」、「読んだ文章から質問をつくる」、
「次にどんな文が来るかの予測する」、「文章を要約する」というプロセス
をリーダを交代しながら繰り返して行うことにより学習効果を高めようとす
るものです。
「ふむふむ、なんとなく他者と相互作用しながらの学習ってかんじだね。」
と思っていただけたでしょうか。そうなんです。いままでの理論で大切とい
われてきたポイントをおさえた手法ということができます。
特に、この教授法に強く影響を与えたのはヴィゴツキーの理論です。みなさ
んヴィゴツキーについて覚えていますか??詳しくは「第3回」の学習理論
講座を見ていただきたいのですが、ヴィゴツキーは、「最近接発達領域」と
いう、学習者が1人で出来るレベルと、教師や仲間に援助されてできるレベ
ルとの間の領域を主張し、知的な能力は他人との関わり合いの中から発達す
るということを主張した学者です。
相互教授法を見てみると、まさに、読解を他人と関わりあうことによって行
い、その力を高めようとする方法そのものなのです。
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●相互教授法のポイントとは
相互教授法では、4つの活動があります。それはさきほどの流れの中にも出
てきましたが、
Predicting(予測)
Clarifying(明確化)
Questioning(質問)
Summarizing(要約)
というものです。
これらは、この順番で行われるというものではなく、それぞれが他の活動と
も関係しながら文章の理解に重要な役割を持っています。
これらの活動を具体的に、かつわかりやすい例で紹介したいと思いますので、
今回はみなさんに相互教授法に参加してもらいたいと思います。今回は、
「鎌倉幕府における元の襲来」という文章を題材にしてみてみましょう。
こういった見出しの文章を渡されたと思ってください。それではいきますよ。
まず予測ですが、これは、これまで読んできた文章や見出しなどを手がかり
に次にどんな文章が来るかを考えあう活動です。
例えば、「鎌倉幕府における元の襲来」という見出しを見たら、みなさんど
んな話が出てくると思いますか?予測してみてください。
「フビライハンの話が出てきそうだ」とか「台風がきて助かった話が出てく
るんじゃないか」とか、そのほかにもいろいろなことを考えられたと思いま
す。こういった予測を、他の生徒と共に行なうのが、「予測」の活動です。
こうした活動を続けると新しい知識に出会っても、既存の知識との関連を考
えられるようになります。この活動は文章に積極的に関わるきっかけを作り、
文章を理解する足がかりとなります。
次に明確化は、分からない言葉や、難しい概念などの意味をはっきりとさせ
る活動です。
さきほどの話に出てきそうな用語で例えば「御家人」という用語はどうで
しょうか。
「御家人てなんだっけ?」、「御家人ていうのは武士の身分のことみたい
だよ」、「だから武士と御家人は同じ意味で使われているんだね。」
相互教授ではこのプロセスも生徒同士で行うため、難しい単語や概念をみん
なで容易に共有することができます。
質問は、文章を読んでそれを題材に質問を作るという活動です。質問を行う
には、文に書かれている内容を理解していなければならないので、この活動
を通して生徒は自分が何を読んでいるのかを意識するようになります。
また、質問には、文に含まれる事実を確認するといった単純なものから、
文全体の意図を問うものまで様々なレベルがあります。
再度「鎌倉幕府における元の襲来」を例にすると、「元による日本への襲来
は何回行なわれましたか?」という質問は簡単に作れますが、「元の襲来は、
鎌倉幕府の政治にどのような影響を与えましたか」という質問をするには、
文全体にわたる理解が必要です。
後者のような質問が増えるためには、教師の積極的な介入も最初のうちは必
要です。
要約は、文章全体に書かれている内容をまとめることです。そういう意味で
は、内容理解が必要な質問と関連の深い活動ということできます。最初のう
ちは、文章の抜粋で終わったり、部分的な内容に引っ張られて全体をまとめ
られないことが多いですが、適切な教師の介入を受けるうちに、文章の要点
を見つけることができるようになります。他の活動と同様、教師はその後
徐々に手を引き、生徒同士で先生役を交代しながら活動を続けられるよう
になります。
こうした活動を通じながら、生徒は学習を深めていきます。
相互教授法では、読解力の難がある生徒に、読み方の「手続き」を習得させ
るというよりも、教材に対する深い理解を促す目的でおこなわれています。
もっと言うと、学習したことの説明や、一般化、モニタリングのできる自立
した学習者を育成することが目指されています。
先生という読解のスキルをもった人を参考にし、自分も実際にその活動を
やってみて、さらに、先生と生徒、生徒同士で相互に作用しあう。
こういった活動を通じて、自立した学習を育てるというのが、相互教授法の
やり方であり、目指す方向なのです。
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●まとめ
さて、今回は相互教授法について説明してきました。
相互教授法は、他者との相互作用で発達がおこるとした、ヴィゴツキーの理
論をベースとした教授法です。先生と生徒による小グループで、「分からな
い言葉などを明確化する」、「読んだ文章から質問をつくる」、「次にどん
な文が来るかの予測する」、「文章を要約する」、というプロセスをリーダ
を交代しながら、繰り返して行うことにより学習効果を高めようとするもの
です。
生徒は、先生というモデルを参考にしながら、自分でする、相互に作用しあ
うという過程をへて、自立した学習者へと成長していくのです。
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●参考文献・URL
Palincsar, A.S. & Brown, A. L. (1984).
「Reciprocal Teaching in Comprehension-fostering and
Comprehension-monitoring Activities.」
Cognition and Instruction 1 (2) 117-175
『North Central Regional Educational Laboratory:Webサイト内記事』
http://www.ncrel.org/sdrs/areas/issues/students/atrisk/at6lk38.htm
『The Center for Multicultural Education
at the University of Washington:Webサイト内記事』
http://depts.washington.edu/centerme/recipro.htm
『College of Education, The University of Georgia:Webサイト内記事』
http://www.coe.uga.edu/epltt/reciprocalteaching.htm
(特集記事協力:
松河秀哉/大阪大学大学教育実践センター教育交流部門 助手
舘野泰一/青山学院大学文学部教育学科 4年)
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今回は、相互教授法の説明と共に、ヴィゴツキーについても触れました。
今回のように、方法論を説明にするには、その背後にある理論の理解が必要
ですし、理解があるほうがより「なるほど!」と感じられると思います。
毎回の新しい記事を見ながら、少し気になるものがありましたら、ちょっと
バックナンバーに戻ってみてください。そうすると、また違った見方で、
理論と接することができるかもしれません。そしてこのメルマガの楽しみ方
ももっと広がるかも…?
次回は、「ジグソーメソッド」を取り上げます。ん…、何やら聞き慣れない
ことば?さて、どんな方法論でしょうか?さらに、その背後にはどんな理論
が横たわっているのでしょうか?お楽しみに。
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ここで、この講座をよりよく理解するための、課題図書ともいうべき一冊
をご紹介しておきます。
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『「未来の学び」をデザインする』
美馬のゆり・山内祐平(著) 東京大学出版会
http://www.utp.or.jp/shelf/200504/053078.html
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特に、巻末の参考文献リストは、これからこの講座で紹介していくさまざ
まな学習理論の参考図書がよくまとまっています。
では、「5分でわかる学習理論講座」次号もどうぞお楽しみに!
ご感想・ご意見もお待ちしております。
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■2.【お知らせ】公開研究会「BEAT Seminar」第8回:
11/12(土)開催のご案内
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2005年11月12日(土)、「BEAT」では、2005年度第8回目の公開研究会を
開催します!
「BEAT」の研究内容や、教育に関するIT技術利用に関する最新動向などを
テーマにした公開研究会です。開催情報は、今後も公式Webサイト、メール
マガジン「Beating」でご案内を差し上げます。
2005年度の公開研究会は、「デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロ
ジー」と題し、古今東西のデジタル教材をレビューすることによって、みな
さまと一緒に教育を支える新しい人工物の姿を考えていきます。
この公開研究会でレビューした教材を中心に、来年次のような本の出版を予
定しています。
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「デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー」(仮称)
2006年春出版予定
ベネッセ先端教育技術学講座(編著)
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第8回となる今回のテーマは「CAI/WBT」です。
CAI(Computer Aided Instruction)、WBT(Web Based Training)
ともに、コンピュータやインターネット(WWW)を利用して教育や学習を支
援することが意図されたものです。
当日は、前半にCAI/WBTの歴史や、今まで開発されてきた教材の具体例など
をレビューします。
後半には、今後の教材・教育システムの中で、このアプローチがどのように
活かせるのか、また、何を変えていけばよいのかについてパネルディスカッ
ションで検討したいと思います。
—————————【第8回 公開研究会 概要】————————————
●テーマ
「デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー」
第8回:「CAI/WBT」
●日時
2005年11月12日(土曜日) 午後2時〜午後5時
●場所
東京大学 本郷キャンパス 情報学環暫定ANNEX 2F教室
http://www.beatiii.jp/images/sem16-map.gif
●定員
40名(お早めにお申し込みください)
●参加方法
参加希望の方は、BEAT Webサイト
http://www.beatiii.jp/seminar/
にて、ご登録をお願いいたします。
●参加費
無料
●発表担当者
■レビュー
重田勝介
(大阪大学大学院 人間科学研究科 先端人間科学専攻 D2)
■パネルディスカッション
堀口秀嗣
(常磐大学 国際学部教授)
松田岳士
(青山学院大学総合研究所eラーニング人材育成研究センター客員研究員)
新井健一
(ベネッセコーポレーション教育研究開発本部長)
【司会】
山内祐平
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■3. 「BEAT研究 Who's Who」
〜BEAT研究者の素顔と、オススメWebサイトのご紹介
今回は・・・BEATアソシエイツ・
東京大学大学院 学際情報学府 修士課程 北村智さん
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このコーナーでは、みなさんにぜひ、個性あふれるBEATメンバーたちをよ
く知ってもらいたいと考え、BEATメンバーたちがそれぞれ自己紹介をして
いきます。
BEATメンバーって誰のこと?という方はコチラ:
BEAT Webサイトメンバーページ
http://www.beatiii.jp/members.html
さらに、自己紹介だけでは物足りないぞ、という欲張りなみなさんのために、
普段の研究・興味・関心をベースに、研究を行う際や資料を検索するときに
役立つサイト、または必ず毎日目を通すサイト、情報ネタとして利用してい
るサイトなど、オススメWebサイトを紹介していただきます。
第4回目となる今回は、BEATアソシエイツで東京大学大学院 学際情報学府
修士課程の北村智さんに、自己紹介とオススメWebサイトをご紹介していた
だきました。
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●自己紹介
はじめまして。北村 智(きたむら・さとし)と申します。
東京大学大学院 学際情報学府 修士課程(橋元良明研究室)に在学中です。
専攻はコミュニケーション論、社会心理学です。特に、個人の特性や意識な
どと対人コミュニケーションメディアの利用効用や利用動機の関係について
の研究を進めています。
学部生の頃は文学部にいて教育学とも工学とも縁はなかったのですが、東京
大学大学院という場で、山内先生とのご縁ができまして、BEATに加わらせ
ていただきました。山内研究室の院生に間違われることも多いのですが、
ただの居候です。
BEATでは学習方略の改善を目標にした、ベネッセコーポレーションとの
産学協同研究に従事しています。
BEATに関わるようになって変わったことと言えば、それまでは「食べない」
と言われていたのが「よく食べる」と言われるようになったことです。
おかげで初めて乗った飛行機(最近まで飛行機に乗ったことがありませんで
した)の機内食で「Beef or Chicken?」と聞かれて「Both」と答えること
になりました。残念ながら機内食はあまりおいしくないということを学習し
たので、もう言わない予定です。
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●オススメWebサイトのご紹介
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・心理尺度(項目)データベース
http://www.s-hirooka.com/hirooka/mpsbmain.html
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三重大学教育心理学教室 廣岡秀一研究室によって公開されている、心理学関
連の領域で作成された尺度が掲載されている論文・書籍のデータベースです。
質問紙を用いて何かを測定したいと考えることは、研究分野を問わず多々あ
るかと思います。そんなときに、既に作成された尺度があればと思うことは
結構ある話だと思いますが、そういった場合に適切な尺度を知らなくても、
利用できそうな尺度がないか、探すことのできるデータベースです。
論文そのものはここでは見ることができませんが、何もあてがないときには
参考になるかと思います。
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北村さんありがとうございました。
●次回の担当者をご紹介します!
次回の担当は、宗我部義則先生@お茶の水女子大学 子ども発達教育研究
センターです。
さわやかな笑顔がとても印象的で、その表情から子ども達に対する愛情と熱
意が伝わってきます。また、宗我部先生は国語科教育が専門であり、ひとつ
ひとつの言葉を大切にされる方でもあります。次号をお楽しみに(^^)/
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■4. 編集後記
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最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
Beating第17号はいかがでしたでしょうか。
食欲の秋、みなさん美味しいもの食べてますかー?秋の味覚を存分に楽しみ
たいものです。
さて、その「味覚」。味を感じるのはもちろん舌です。だけど、舌だけあれ
ば味はわかるもんねー、というとちょっと違います。
試しに今日のごはんを目隠しをして食べてみて下さい。それぞれの料理の味
を感じることができるでしょうか?きっとせっかくのごはんが全然おいしく
ないはずです。
なぜかって?味を感じるのは、味覚ひとりの働きではなく、いろいろな感覚
が総合して働くからです。食欲の秋、つまり、「秋」においしいものが多い
のは、単に味覚的な要素が充実しているだけでなく、この季節に視覚的・聴
覚的・触覚的・嗅覚的な要素が総合的に備わっているからであるといえます。
澄んだ空気、爽やかな風、吸い込まれそうな高い青空…。確かに、私たちの
五感に穏やかにささやきかけられるような季節ですね。
このように、私たちには、感覚をひとつだけ切り出して機能させる、といっ
た器用なマネはできません。常に、五感は共に働いています。
実はこのことは、BEATのテーマである「学習」でも、着目されている観点
なんです。
例えば、黒板の文字を写している行動ひとつとっても、単に視覚的な要素だ
けが働いているようですが、実はその時にどんな音が耳に入っているか、ど
んな温度や湿度を感じているか、鉛筆やノートの手触りがどんなものである
かが密接に関わっているわけです。
2005年度のBeating特集企画である「5分でわかる学習理論講座」では、こ
のように「学習」というものがその「状況」や「文脈」に依存するものであ
ることに焦点をあてています。おかげさまで好評をいただきながら今回で6回
目を迎え、内容は理論的な解説から、具体的な方法論に移行してきました。
今後の展開を期待して頂くと同時に、是非バックナンバーにも目を通してみ
てください。以下より参照できます。
http://www.beatiii.jp/beating/
では、次号のBeatingもお楽しみにどうぞ。
「Beating」編集担当
八重樫 文
kazaru@beatiii.jp
-------次回発行は11月第4週頃の予定です。
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お知らせいただいたお名前・メールアドレスなどの個人情報は、ベネッセ先
端教育技術学講座にて、「Beating」からのお知らせのためだけに使用いた
します。また、ご本人の同意なく、第三者に提供することはございません。
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「Beating」編集担当
八重樫 文
(福山大学 人間文化学部 人間文化学科
メディアコミュニケーションコース 専任講師)
kazaru@beatiii.jp
□「BEAT」公式Webサイト
http://www.beatiii.jp/
□発行
東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」
Copyright(c) 2005. Interfaculty Initiative in information Studies,
The University of Tokyo. All Rights Reserved.
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