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Beating 第56号
2008年度Beating特集「5分で分かる学習フロンティア」
第10回:高等教育のフロンティア「人」

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東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」   
メールマガジン「Beating」第56号     2009年 1月27日発行    
現在登録者1694名

2008年度Beating特集「5分で分かる学習フロンティア」
第10回:高等教育のフロンティア 「人」

http://www.beatiii.jp/?rf=bt_m056
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┃★CONTENTS★
┃■1.  特集:2008年度Beating特集「5分で分かる学習フロンティア」
┃
┃    第10回:高等教育のフロンティア 「人」:
┃   立命館大学 経営学部 環境・デザインインスティテュート
┃   八重樫 文 准教授 インタビュー
┃   「プロジェクト学習の“肝”はどこにある?
┃         —学びを取り巻く「人」・「ICT」のありかた—」
┃
┃■2.【お知らせ1】「2008年度第4回BEAT Seminar」
┃「教育工学25年の歴史から考えるデジタル教材の未来」のご案内
┃
┃■3.【お知らせ2】「UTalk: 地形は動いている—国土という思想—」
┃         のご案内
┃
┃■4. 編集後記
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■1.  特集:2008年度Beating特集「5分で分かる学習フロンティア」
    第10回:高等教育のフロンティア 「人」:
   立命館大学 経営学部 環境・デザインインスティテュート
   八重樫 文 准教授 インタビュー
   「プロジェクト学習の“肝”はどこにある?
         —学びを取り巻く「人」・「ICT」のありかた—」
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今年度のBeatingでは、情報通信技術が導入されて間もない教科や領域に注目
し、その教科や領域で活躍する人や理論、プロジェクトを紹介しております。
題して「5分で分かる学習フロンティア」!!その第10回となる今月からは、
今年度最後のシリーズとなる“高等教育”をお届けいたします。

今日、企業は、めまぐるしい環境の変化に対応し、厳しい競争を勝ち抜くため
の人材として、「自律型人材(自ら主体的に考え行動する人)」を必要として
います。そして「自律型人材」には、問題発見能力・課題解決能力やコミュニ
ケーション能力の向上が不可欠であるとされています((社)日本経済団体連
合会 2006)。

近年、大学における新しい授業のありかたとして注目されているプロジェクト
学習(PBL:Project Based LearningまたはProblem Based Learning)は、
社会と学校を接続しながら、少人数のグループで課題を設定し、探究する授業
スタイルであり、上記の能力を高等教育で育成できる可能性を秘めています。

高等教育一般では近年になって注目され始めたプロジェクト学習ですが、実は
美術大学におけるデザイン教育の分野では、以前より実践されてきたスタイル
でもあります。

そこで今回は、2008年9月のBEATセミナー「プロジェクト学習が大学を変える」
(http://www.beatiii.jp/seminar/035.html)でもご登壇いただいた、
立命館大学経営学部 環境・デザインインスティテュート准教授の
八重樫文(やえがし かざる)先生に、さらなるお話をうかがってきました。
デザイン教育がご専門である八重樫先生に、プロジェクト学習に対して人や
ICTはどのように関わることができるのか、そもそもプロジェクト学習を取
り入れるとはどういうことなのか、流行り廃りを超えたプロジェクト学習の
ありかたについて質問させていただきました!

(出典)
(社)日本経済団体連合会(2006) 主体的なキャリア形成の必要性と支援の
あり方〜組織と個人の視点のマッチング〜
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2006/044/honbun.html

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■プロジェクト学習のねらい

○インタビュアー:
立命館大学で先生が実施されているプロジェクト学習の特色について教えて
ください。

●八重樫先生:
もともとプロジェクト学習は、学生たちでグループを組み、設定した課題を
進めて行き、最後に成果としてものを作る、あるいはプレゼンを行う、とい
う流れになります。うちの授業の特色であれば、その中で問題設定の部分に
一番比重を置いていることです。プロジェクト学習として表に出てくるのは
何を作ったか、どういうプレゼンをしたかにあります。そこに時間をかける
ことで見た目のクオリティは変わってきますが、私が重視しているのは見た
目の部分ではなく、本当に自主的に問題を見つけたかどうか、自分で問題を
作れたかどうかです。

○インタビュアー:
プロジェクト学習を通して学生に身につけてもらいたいことは何ですか?
また、プロジェクト学習でなくては身につかない事はあるのでしょうか?

●八重樫先生:
プロジェクト学習でなくては身に付かないことは、わかりません。無いので
はないのでしょうか?他の方法でも身に付くと思います。
身に付けてもらいたいことは、自分で考えてほしいということですね。一番
大きなところは自分で考えること、そして自分で学びの枠を決めてかからな
いことです。

○インタビュアー:
「学びの枠」というのは?

●八重樫先生:
プロジェクト学習の中でもいろいろあって、ある程度課題を与える方法、つ
まり教員やファシリテーター側で課題や思考の枠を用意しておき、そこで実
際にプロジェクトを進める部分だけを課す場合もあります。しかし、私の授
業では、どこまで調べれば良いかとか、どこまで考えれば良いかとか、そう
いった思考の枠組みは、授業や教員に与えられるものではなく、自分で広げ
ていくものであることを望んでいます。


■プロジェクト学習と「人」

○インタビュアー:
プロジェクト学習におけるTA(ティーチング・アシスタント)等のファシリ
テーターの必要性や役割についてお考えをお聞かせください。
ファシリテーターという存在は必須なのでしょうか?もしいなくても可能だ
とすれば、どのような工夫が必要になるのでしょうか?

●八重樫先生:
ファシリテーターというのは教員ではない人ということですね。教育・学習
のことを考えるのであれば予算の許す限り、理想的には必須だと思います。

○インタビュアー:
ファシリテーターは各グループに1人いれば良いのでしょうか?複数のグル
ープを1人で見るという形が良いのでしょうか?

●八重樫先生:
グループに1人面倒見る人がいれば理想ですね。役割というのは、非常に答
えづらいですね。

(※筆者注:ここで先生は、立命館大学でESと呼ばれるファシリテーターに
配布しているというプリントの内容を見せてくださいました。以下、番号付き
で記載するのは、そのプリントにあったガイドラインの項目です。)

●八重樫先生:
ESというのは、Education Supporterです。立命館大学では院生の場合
TA、学部学生の場合ESと呼んでいます。

1. 「教える」より「学ばせる」こと

●八重樫先生:
特に、高学年のプロジェクト学習経験者をESとして積極的に採用すると、
自分が経験している分、プロジェクト学習に慣れていない後輩を前にすると
すごく教えたがってしまうので、まずそれを止める必要があるんですね。そ
こで、まず教える立場ではないということを明確にします。あくまでグルー
プのメンバー、つまり学習者が自分たちで動くことが至上命題なので、それ
をサポートする役割に徹しろ、ということを言っています。

2. 「積極性」より「Shyness」を優遇すること

●八重樫先生:
プロジェクト学習では、積極的な学生がすごく動きやすい状況になります。
しかし、その積極的な学生がそのまま突っ走って行けば良いかというとそう
ではありません。ESにやってもらいたいことは、グループの中であまり発言
しない人やちょっと引いている学生から積極的に意見を吸い上げ、意見を言
わせる雰囲気を作ることです。実はそのような人の方がいろんな意見を持っ
ていたりするので、そこをうまくグループにリンクさせる役割をさせます。
1グループに1人ファシリテーターが付いてほしいという理由はここにもあ
ります。

3. 「鏡」になること

●八重樫先生:
プロジェクト学習では、必ず他の人と接することが求められます。
それは、他のグループの人、先生、学内の人、学外の人という風に広がって
いきます。そこで、まず自分たちが何を言っているのかを客観的に見られる
ようにならなければいけません。ですので、ファシリテーターは鏡になるこ
と、つまりファシリテーター自身の個人的な意見を言うのではなくて、グル
ープのメンバーが何を言っているかを、跳ね返してあげることが必要になり
ます。鏡になるとは、素晴らしい先輩としてのカガミ(鑑)という意味では
なく、グループのメンバーが自分たちの活動を客観視できるようにすること
なのです。

4. スキマと余白を埋めない

●八重樫先生:
プロジェクト学習では必ず議論が紛糾したり、グループで調整がつかずに仲
が悪くなったりすることがあるんですね。そこで無駄に「いい役」を演じな
いということです。「そういうのは放っておきなさい」、と言っています。

情報は常に差異の中に生まれるので、グループの葛藤は、実はプロジェクト
学習の中で一番大事なところです。それを第三者、特に大人の意見で収束さ
せると、その後の成果がすごく小さなものになってしまいます。私が問題設
定に多くの時間を割いていて成果の質を重視していないというのも、そうい
う葛藤で潰れるなら潰れても良いと思っているためです。

これは、決してプロジェクト学習が成功しなければ良いということを言って
いるわけではありません。しかし、そういった葛藤、他者とかかわる
難しさ、上手く行かないことというのはあるものです。きれいなプレゼンに
まとまっていても、「だから何だ?」ということがあります。これは、「プ
ロジェクト学習」であって、「プレゼンテーション演習」でも「プレゼンテ
ーション論」でもないからです。

5. 「OK,何の問題もない。」

●八重樫先生:
これは、グループが「やりたい」と言ったことを止めるなということです。
学習者が「こうやって良いですか?」と聞いてきた時には「まずやれ。」と
いうことです。ただし、「やれ」と言うと指示の形になり、責任を帯びてし
まう可能性があるので、「OK,何の問題もない」です。これは自分がいつも
言っている言葉なのですが、この言い方ならあまりファシリテーターに責任
転嫁されません。「やめろ」も「やれ」もメッセージの強さとしては同じな
ので、あまり指示形にならないようにするのがポイントだと思います。そう
いう意味でファシリテーターが学習者側に近い形で、教員と学習者の間にい
るのは重要です。実はここのマネジメントが結構肝なのかな、という気もし
ます。

○インタビュアー:
今度は教員についてうかがいたいと思います。
そもそも教員の存在意義をどのようにお考えなのでしょうか?また、プロジ
ェクト学習に入り込めない学生のフォローをすることが出来る、とBEAT
セミナーでは仰っていましたが、それ以外にも工夫されている点が多々ある
と思います。その中でも特に難しいと感じる点は何ですか?

●八重樫先生:
ファシリテーターに課していることと同じように、いかに教えないかという
ことが一番難しいです。教員はやはり経験値が高いので、「そうやったら上
手く行かない」、「ここでこういうことを言ってあげれば上手くいく」とい
うことに気づいてしまいます。しかし、失敗することも学びである場合、失
敗させないヒントを与えると学びを阻害してしまうことになります。また、
何か意見を言うときに、こちらが言ったことに引きずられ、教員の意見にな
ってしまう可能性があります。あくまで学習者自身が自分でやった、だから
失敗したのも自分たちの責任だ、というようにするのが難しいです。

では教員は何をするのか?いうことになりますが、やはり放っておけば学生
たちが何でも自主的にやるというわけではないので、スタートからゴールま
での全体のスケジュール管理が必要になります。つまり、教員は場と時間を
与える立場なのだと思います。また、逆に黒子に徹しようとしても、仕組ま
れたことというのは、学習者に気づかれてしまうんですね。教員が直接アド
バイスせずに、ファシリテーターに裏で「こういうこと言っておいてよ」と
言ってその時は上手くいったとしても、そういう作られたものは、どこかで
ひずみが生じるものです。やはりそういうことはせず、ダイナミックにやっ
ていく方が学ぶことは多いのではないかと思います。

○インタビュアー:
これからプロジェクト学習を取り入れようとしている大学教員に向けてのア
ドバイスは何ですか?

●八重樫先生:
何故プロジェクト学習をやるのか、という部分が重要だと思います。自分も
プロジェクト学習をやらざるをえない授業と、自分でやり方を考えている授
業とがあります。やらざるをえない場合には、いろいろな文献や大学の前例
があるので、まずはそれに沿ってやってみれば良いと思います。自分でやり
たいと思ってやる場合には、いろいろ工夫をすることが必要になります。

少し話がずれますが、プロジェクト学習が語られる文脈で1つ気になってい
ることがあります。どうも、従来の一斉講義型の授業に対するアンチテーゼ
やカウンターとしてプロジェクト学習がある、という話になっている気がす
るのですが、二項対立になっているのはおかしいと思っています。世の中に
は一斉講義型とプロジェクト学習しかないわけではありません。一斉講義型
に何か問題があるから別のスタイルを取り入れようと言ったときに、プロジ
ェクト学習以外にも方法はあります。


■プロジェクト学習とICT

○インタビュアー:
プロジェクト学習は、以前のセミナーでもたくさん質問が出ていたと思いま
すが、評価方法が難しいと言われています。それに対してICTはどのよう
に介入・支援できるとお考えでしょうか?

●八重樫先生:
ICTを使えば活動を記録できるので、それが評価に使える情報になるのは
一番のメリットだと思います。

ICTを抜きにして評価が難しいという話に戻ると、どんな文脈でも評価は
問題になります。評価とは、誰が何を評価するのかが前提にあるので、
プロジェクト学習で評価が難しいという場合、教員が学生を評価するのなら
それは難しいと思います。

しかし、そもそもプロジェクト学習には、学生が主体で学ぶという目的があ
るので、学生自身が何を学んだかを自分で評価すべきだと思っています。そ
う考えた時にポートフォリオなど評価軸としてこちらが提供できるものはい
ろいろありますが、点を付けるのが自分自身であれば、評価はそう難しくな
いと思います。クラス内で順位を付けるような評価というのはプロジェクト
学習ではありえないのです。「Aさんは90点」、「Bさんは80点」といった
相対評価ができないため、教員としてはそこが悩みになると思いますが、
プロジェクト学習としての評価ならば、そこは悩みにならないと思います。

○インタビュアー:
今後プロジェクト学習を支援するうえでICTを活用できる可能性はどのよ
うなところにあるのでしょうか?

●八重樫先生:
難しいですね。まだアイデアの段階の話ですが、今までProBoも
ProBoPortableも(注)、着目してきたのはプロジェクト学習をしている学
生の活動を円滑にするということなんですね。けれど、これまでお話してき
たように、学習者だけではなくて、教員、ファシリテーター、外部の方々な
ど、皆がプロジェクト学習に関わっています。今後ICTを用いてプロジェク
ト学習を支援することを考えるならば、たとえば教員とファシリテーター、
あるいはファシリテーターと学生の支援など、そういうところに目を向けて
いくことになるのではないかと思います。

実は昔やったことがあり、10年ぐらい前、武蔵野美術大学にいた頃、20
グループのプロジェクト学習で、各グループにファシリテーターを付けて教
員5人でやっていたのですが、教員とファシリテーターの情報共有が上手く
出来ませんでした。そこで、学生が見えないところで教員とファシリテータ
ーが連絡できる掲示板を作って、ファシリテーターがその日にグループにど
んな動きがあったかを書き込んだり、教員も各グループにどんなアドバイス
をしたかを書き込んだりして共有するということを行ったことがあります。


■プロジェクト学習のこれから

○インタビュアー:
プロジェクト学習に関連して、先生はこれからどのようなことに取り組みた
いとお考えですか?

●八重樫先生
最近、美術大学、特に情報デザイン系の人が気付き始めていると思うのです
が、このような大学教育一般の話でプロジェクト学習が注目されてきたのは
最近だとしても、美大の中でやってきたことを考えると、このような、グル
ープを組んで、学生たちが自分でテーマを決めて、動いて、最後にプレゼン
する、というのは普通にやってきたことなのです。デザイン教育からすれば
「何故今さらもてはやされているの?」という感覚があり、そう考えている
人も多いと思います。そういう流れの中で私自身が今考えていることは、デ
ザイン教育に既にあるノウハウや知見を外に出して行けないかということで
す。もう少し個人的なテーマとしては、デザインの知見を、まだデザインの
あまり浸透していない分野に持ち込んで有用性を示すことです。

○インタビュアー:
 八重樫先生、本日はどうもありがとうございました。

●八重樫先生:
 ありがとうございました。OK,何の問題もない。

(注)
ProBoとPBP(ProBoPortable)とは、いずれも
八重樫先生が開発に携わられている、プロジェクト学習の支援ツールです。
ProBoはWeb上のグループウェアであり、グループ内の仕事の分担や進捗
状況などを共有・管理することができます。PBPはProBoを拡張したもの
であり、携帯電話の待ち受け画面でメンバーのタスクの進捗状況やProBo
へのアクセス状況などがリアルタイムで可視化されます。

(参考)
・ProBoはメディア教育開発センターより無償配布されています
http://pb.nime.ac.jp/
・ProBoPortableの概要紹介ページ
http://mochi-lab.net/index.php?option=com_content&task=view&id=21&Itemid=34


■まとめ

社会がもとめる「自律型人材」に必要な能力を向上させるための方法として、
高等教育での実践が普及しつつあるプロジェクト学習ですが、実施するうえで
は、グループを支える人やICTなどの道具のありかたが非常に繊細なものである
ことが分かりました。教員と学習者の間にいるファシリテーターという存在の
重要性、そしてそのファシリテーターと教員の両方が、いかに「教えない」立
場に徹しながら、学生の主体的な学びをサポートしていくことが困難であるか
が浮き彫りになりました。そして、そのような教員やファシリテーターなど、
学習者グループの周辺にいる人間の支援に対しICTが関わる余地があることも見
えてきました。

また、大学の授業の中でプロジェクト学習が全てではないということを強調さ
れていたのも印象的でした。学生主体で問題設定から調査、成果発表までの一
連の流れを行うプロジェクト学習には、実践の難しさと同時に大きな魅力があ
ります。しかし、プロジェクト学習を取り入れるに当たり、「なぜプロジェク
ト学習なのか」「なぜ他のスタイルではダメなのか」を教員側が熟考するとい
うことが、実は最も重要なのかもしれません。

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(特集記事協力:
大城明緒/東京大学 大学院 学際情報学府 修士1年
佐藤朝美/東京大学 大学院 学際情報学府 博士2年)
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次号は高等教育のフロンティア「プロジェクト」編です。
「5分で分かる学習フロンティア」どうぞお楽しみに!
ご意見・ご感想もお待ちしております。


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■2. お知らせ1 : 2008年度第4回BEAT Seminar
「教育工学25年の歴史から考えるデジタル教材の未来」のご案内

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BEAT(東京大学情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座)では2008年度第4回
BEAT Seminar「教育工学25年の歴史から考えるデジタル教材の未来」を
3月28日(土曜日)に開催致します。

1980年代から現在まで、電子機器の普及と情報技術の発展の波は、私たちの生
活や学習環境を大きく変えてきました。紙やテレビ、コンピューター、モバイ
ル、ゲーム機、それらをつなぐネットワーク技術により、学習環境は教室から
自宅や通勤・通学時という学校外の環境まで広がり、今や私たちはいつでもど
こでも好きなだけ学習することができます。しかし、情報技術が発展するスピ
ードに合わせて学習環境がそのまま進歩したかというとそうではありません。
情報技術・機器を教育にどのように応用するか、教育関係の研究者や現場教員
が成功と失敗を繰り返し、今の進歩があります。

このような学習環境の進歩に貢献してきた学会の1つであります日本教育工学
会が創立されて今年で25年になります。今回のBEAT Seminarでは東京工業大学
教育工学開発センター 教授で日本教育工学会 会長の赤堀侃司先生をお招きし、
デジタル教材の変遷と、特に近年、世界的に注目されているモバイルの教育利
用についてお話頂きます。

みなさまのご参加をお待ちしております。

—————————【2008年度 第4回 公開研究会 概要】————————
■主催
 東京大学 大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座

■日時
 2009年 3月28日(土)午後1時より午後5時まで

■場所
 東京大学 本郷キャンパス 情報学環・福武ホール(赤門横)
 福武ラーニングシアター(B2F)
 http://www.beatiii.jp/seminar/seminar-map37.pdf

■定員
 180名(お早めにお申し込みください)

■参加方法
 参加希望の方は、BEAT Webサイト
 http://www.beatiii.jp/seminar/
 にて、ご登録をお願いいたします。

■参加費
 無料

■内容
 1. 趣旨説明 13:00−13:10
  山内 祐平 (東京大学 准教授)

 2. BEAT 2008年度成果報告 13:10-14:10

 ▼休憩

 3. 基調講演 14:25-15:05

  「メディアの変遷から見るモバイル学習(仮題)」
   赤堀侃司 (東京工業大学 教育工学開発センター 教授)

 4.パネルディスカッション 第1部 15:05−15:45
  「教育工学25年の歴史から考えるデジタル教材の未来」
   司会:
    山内祐平(東京大学 准教授)
   パネラー:
    赤堀侃司(東京工業大学 教育工学開発センター 教授)
    新井健一(株式会社ベネッセコーポレーション 執行役員)
    向後千春(早稲田大学 人間科学部 准教授)

 5.参加者によるグループディスカッション 15:45−16:05

 ▼休憩

 6.パネルディスカッション 第2部 16:15−17:00

 *終了後、懇親会(有料)


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■3. お知らせ2 :「UTalk: 地形は動いている—国土という思想—」
           のご案内

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UTalkは、様々な領域で活躍している東京大学の研究者をゲストとして 招き、
毎月開催するイベントです。カフェならではの雰囲気、空気感を大切にし、気
軽にお茶をする感覚のまま、ゲストとの会話をお楽しみいただける場となって
います。

人びとの暮らしや社会が地形や気候と折り合いをつけながらたがいにつくりあ
げてきた国土。2月のUTalkは、須見徹太郎さん(総合防災情報研究センター特
任教授)をゲストに、絶えず変化している地形について、河川とのかかわりか
ら考えます。

日時: 2月14日(土)午後2:00〜3:00
場所:UT Cafe BERTHOLLET Rouge
(東京大学 本郷キャン パス 赤門横)
http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/access.html
料金:500円(要予約)
定員:18名

申し込み方法: (1)お名前(2)ご所属(3)ご連絡先(メール/電話)(4)このイベン
トをお知りになったきっかけ をご記入の上 utalk2008@ylab.jp  までご連絡
ください。

※申し込みの締め切りは 2月3日(火)までとします。
なお、申し込み者多数の場合は抽選とさせていただく場合がございます。 
ご了承ください。

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■4. 編集後記

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もう1月も終わりですが、あけましておめでとうございます。2009年最初の
Beatingはいかがでしたか?今月から「高等教育のフロンティア」が始まりま
した。プロジェクト学習。大変興味深い内容でした。

記事を読んでいて、企業に勤めていたことを思い出しました。グループで1つ
の目標を共有し、その目標達成のために、助け合いながら仕事を行い、私はさ
まざまなことを勉強しました。今、教育工学の分野で研究するようになって
思うのが、そのプロジェクトでグループの目標達成のために「がんばろう!」
と思うことができたのは、そのコミュニティーに所属している感覚(Sense of
Community)を強く感じていたことが大きかったのではないかと思います。
上司や先輩、後輩、同期とプライベートまで仲が良いわけではなかったので
すが、仕事場において、お互いに信頼感もありましたし、考えることを率直
にいうことができました。といっても、お互いの考えや仕事の仕方を縛り付
けるわけでもなく、張りつめた雰囲気ではなく、緩い雰囲気でした。仕事い
うよりも、何かおもしろいことを創り出そうと考えている大学の研究室のよ
うな感じでした。

Sense of Communityを高める1つの要素として、一体感というものがあると
いうことは言われておりますが、プロジェクト学習を成功させるためのタネ
がSense of Communityにありそうです。たとえばSense of Communityの1つの
要素である一体感というのはどういうふうに芽生えるのか、など、考えると
興味深いですね。PBLは評価が難しいと言われていますが、Sence of Community
などは何かヒントになるのかもしれないと期待しています。


では来月のBeatingもお楽しみに。

「Beating」編集担当
山田 政寛(やまだ まさのり)
yamada@beatiii.jp
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ご登録先は、ベネッセ先端教育技術学講座になります。
ご登録にあたって、お知らせいただいたお名前・メールアドレスなどの個人
情報は、ベネッセ先端教育技術学講座にて、「Beating」からのお知らせの
ためだけに使用いたします。また、ご本人の同意なく、第三者に提供するこ
とはございません。

「Beating」はお申し込みをいただいた方々に配信しています。無断転載を
ご遠慮いただいておりますので、転載を希望される場合はご連絡下さい。

□登録アドレスの変更、登録解除などはコチラ
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□ご意見ご感想はコチラ
「Beating」編集担当 山田 政寛
(東京大学 大学院 情報学環 特任助教)
yamada@beatiii.jp

□「BEAT」公式Webサイト
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□発行
東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」

Copyright(c) 2009. Interfaculty Initiative in information Studies,
The University of Tokyo. All Rights Reserved.
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