Beating 第83号
2011年度Beating特集「@Eduなう!拡大版」
第1回:オンラインコースのドロップアウト率
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東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」
メールマガジン「Beating」第83号 2011年4月26日発行
現在登録数 2608名
2011年度Beating特集「@Eduなう!拡大版」
第1回:オンラインコースのドロップアウト率
http://www.beatiii.jp/?rf=bt_m083
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みなさま、こんにちは!
東京では桜からツツジへと季節が移り変わってきました。
みなさまのお住まいのあたりはいかがでしょうか。
2011年度の第1号となる、Beating第83号をお送りします。
Beatingでは、「@Eduなう!」と題してTwitterとメールマガジンを連動
させた特集をお届けしています。これまではBEAT公式Twitterアカウント
(@beatiii)でBEATメンバーがつぶやいた現在の教育に関する最新情報から、
研究の要旨をお伝えしていましたが、今年度は新たな試みとして、
「@Eduなう!拡大版」と題して、ひとつの研究に的を絞り内容を掘り下げて
解説いたします。ぜひご一読ください。
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┃★CONTENTS★
┃【特集】2011年度Beating特集「@Eduなう!拡大版」
┃第1回:オンラインコースのドロップアウト率
┃
┃■お知らせ・BEAT Seminar 2011年度 第1回 BEAT公開研究会
┃「ソーシャルメディアによって変わる学びのかたち」
┃■お知らせ・UTalk「田んぼから見える自然と人」のお知らせ
┃■編集後記
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┃特集┠───────────────────────────────
┗━━┛ 2011年度Beating特集「@Eduなう!拡大版」
第1回:オンラインコースのドロップアウト率
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■2011/04/11 11:33:01
http://twitter.com/#!/beatiii/status/57322348130471936
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┃A review of online course dropout research: implications for practice
┃and future research (Lee & Choi, 2010)
┃オンラインコースのドロップアウト率に関するレビュー論文。過去10年間
┃の先行研究から69要因を特定して、学生要因、コース/プログラム要因、
┃環境要因に区分した上で、これまで取られてきた継続対策を検討。
┃http://bit.ly/emSzBU
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│解説│
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│オンライン学習は時間と場所を問わないことから、テクノロジーの発展に
│伴い増加していますが、ドロップアウト率が高いことが問題になっていま
│す。このレビュー論文では、オンラインコースが急増した1999年から
│2009年の10年間に査読誌に掲載された研究から、高等教育で行われた
│35のオンライン教育の実証的研究を取り上げ、学生のドロップアウトに
│影響を与える要因や継続対策を検討し、将来の研究への提言を述べて
│います。
│
│まず、本論文では先行研究からドロップアウトに関わる69の要因を特定
│し、Constant Comparative Method(質的データの分析法の一つ)を
│用いて9つのグループに分類した上で、上位の概念として1.『学習者
│要因』、2.『コース/プログラム要因』、3.『環境要因』の3つの要因を
│抽出しています。
│
│1.『学習者要因』は全体の55%を占めています。下位項目には、学習態
│度や過去の成績などの「学習背景」、高等教育を受けた経験やコース内容
│と関連する学習の有無などの「学習経験」、コンピュータスキルやマネジ
│メント能力といった学生の「関連スキル」、学習のコントロールやモチベー
│ション、自己効力感、満足度、自信に関係する「心理的特性」があげられ
│ます。これらの項目が低いほど、ドロップアウト率が高まるそうです。
│
│2.『コース/プログラム要因』は、全体の20%を占めています。下位項
│目には、「コースデザイン」の良し悪しや、コース開始前にウェブ上でオリ
│エンテーションを実施したりメンタル面や学習面などの相談を行ったり
│する「学習機関のサポート」、「インタラクション」の有無があげられます。
│「インタラクション」については、学生と教師、学生と学習内容(オンラ
│イン上のコンテンツの閲覧履歴)とのインタラクションが学習の継続に
│関係しているそうです。
│
│3.『環境要因』は、全体の25%を占めています。下位項目には、学生の
│「仕事への責務」と「学習環境へのサポート」があげられます。オンライ
│ンコースの学習者は何らかの職に就いている人が多く、時間的にも精神的
│にも余裕がありません。そのため、家族、友人、雇用者、同僚などによる、
│適切な学習環境を維持するためのサポートの有無が、学習に影響を与えて
│いるそうです。
│
│次に、前述したドロップアウト率に関わる3つの要因に対応させて、オン
│ラインコースの継続対策について次のような提案を行っています。
│
│第一に、『学習者要因』に対する継続対策としては、「学習者の問題や
│ポテンシャルを理解し対処すること」をあげています。そして、それに
│あわせたカリキュラムや指導法をデザインしたり、サポート制度を設けた
│りすることが必要だと述べています。
│
│第二に、『コース/プログラム要因』に対する継続対策としては、「質の
│よいコース活動やきちんと構成されたサポート制度を提供すること」をあ
│げています。コースの質は通常のコースでも重要なことは言うまでもあり
│ませんが、オンラインコースの学生は通常のコースの学生とは異なるニー
│ズや特徴を持っており、それに対応することが必要です。たとえば、
│チーム主体の学習(team-based learning)など、インタラクティブな活動を
│行ったり、学習内容を学生の経験や関心と関連させると、学習へのモチ
│ベーションが高まるそうです。また、オンライン上で効果的に情報伝達す
│るためには、コース内容の提示形式を学生にとってわかりやすくアクセス
│しやすいものにする必要があるそうです。加えて、教員の役割は学生と教
│員間のコミュニケーションやインタラクションを促進することであり、
│コミュニケーションツールを活用したり、学生の進捗状況をモニターした
│り、教員のフィードバックや学生同士のインタラクションを増やして、
│効果的なインタラクションを強化することを勧めています。また、学習機
│関のサポートも不可欠です。アドバイザーやテクニカルサポートを設けた
│り、プログラムのオリエンテーションを実施したり、ドロップアウトしや
│すい学生をサポートする体制を整備することをあげています。
│
│第三に、『環境要因』に対する継続対策としては、「学生の環境的な問題や
│感情的な問題に対応すること」があげられます。学生の個人的な問題を
│解決することは困難ですが、学生の問題を知り、適切なサポートを行うこ
│とができるスタッフの存在は欠かせません。コースの導入時に、質問紙な
│どを用いて学生の問題やニーズを調査したり、カウンセリングサービスを
│行ったり、アドバイザーを養成することが必要だと述べています。
│
│最後に、3つの要因は独立したものではなく互いに影響し合っていること、
│人の行動が環境に影響されるように、受講生もまた環境に影響されると述
│べています。今後は、オンラインコースを継続している学生の学習目的や
│分野、レベルといった学習環境の調査が必要であること、また、ドロップ
│アウト率の減少を実証的に明らかにしている研究は少ないことから、
│今後の研究が望まれると結んでいます。
┃◎特集記事協力◎
┃末 橘花/東京大学 大学院 学際情報学府 修士1年
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BEATはTwitterを利用して教育やICTに関する最新情報や、BEATに関する
情報を発信しています。Beatingで紹介している情報以外にも多くの情報を
発信していますので、Twitterをご利用のかたはぜひBEAT公式アカウント
(@beatiii)をフォローしてみてください。
http://www.twitter.com/beatiii
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┃お知らせ│BEAT Seminar┠─────────────────────
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BEAT Seminar 2011年度 第1回 BEAT公開研究会
「ソーシャルメディアによって変わる学びのかたち」
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BEAT(東京大学情報学環ベネッセ先端教育技術学講座)では、
震災の影響で延期になっていたBEAT Seminar「ソーシャルメディアによって
変わる学びのかたち」を6月4日(土曜日)に開催致します。
TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアは、人と人のつながりを変
えるインフラストラクチャになりつつあります。学習が本質的に社会的なもの
であることを考えれば、人のつながりを変える力のあるメディアは、学びの形
を変える力も持っているはずです。
この公開研究会では、BEATで2010年度展開したソーシャルメディアに
よって高校生と大学生・社会人をつなぐ「Socla」プロジェクトを中心に、
ソーシャルメディアによって変わる学びのかたちについて議論を深めたいと
考えています。
尚、3月にお申し込みをされた方には、4月末からメールにて優先的に
ご案内させていただきます。一般の方には5月連休明けからBEATのHPにて
ご案内をさせていただきます。
みなさまのご参加をお待ちしております。
■主催:東京大学 大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座
■日時:2011年 6月4日(土)午後1時より午後5時まで
■場所:東京大学 本郷キャンパス 情報学環・福武ホール(赤門横)
福武ラーニングシアター(B2F)
アクセスマップ>>http://www.beatiii.jp/seminar/seminar-map45.pdf
■内容:
1. 講演 13:00-13:40
「ソーシャルメディアが変える社会」
津田 大介(ジャーナリスト)
▼ 休憩
2.報告1 14:00-14:40
「Twitterを利用して高校生と大学生・社会人が進路と学ぶ意味について
考える"Soclaプロジェクト"」
山内 祐平(東京大学 准教授)
3.報告2 14:40-15:20
「グループで小論文を相互添削するシステム"Re:"(アール・イー)」
椿本 弥生(はこだて未来大学 特任講師)
高橋 薫 (東京大学 特任助教)
▼ 休憩
4.参加者によるグループディスカッション 15:35-16:00
5.パネルディスカッション 16:00-17:00
「ソーシャルメディアによって変わる学びのかたち」
司 会:藤本 徹 (東京大学 特任助教)
パネリスト:今村 久美(NPOカタリバ 代表理事)
椿本 弥生(はこだて未来大学 特任講師)
高橋 薫 (東京大学 特任助教)
山内 祐平(東京大学 准教授)
(※報告者、パネリストは一部変更になることがあります。)
■定員:180名(3月にお申し込みいただいた方を優先させていただきます。)
申込ページ:http://www.beatiii.jp/seminar/index.html
■参加費:無料
■懇親会
セミナー終了後1F UTCafeにて
参加希望者(¥3,000)
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┃お知らせ │ UTalk ┠───────────────────────
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UTalk「田んぼから見える自然と人」のお知らせ
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UTalkは、様々な領域で活躍している東京大学の研究者をゲストとして招き、
毎月開催するイベントです。カフェならではの雰囲気、空気感を大切にし、
気軽にお茶をする感覚のまま、ゲストとの会話をお楽しみいただける場となっ
ています。
5月のUTalkのゲストは、ラオスに通い、村に長期滞在し調査を続けている
富田晋介さん(農学生命科学研究科 助教)。稲と雑草の関係や、土地利用の
歴史など、田んぼを多角的に調べることで自然と人間のかかわりを解き明かそ
うとしています。フィールドワークから見えてくる自然資源の活用について考
えます。
みなさまのご参加をお待ちしています。
■日時:5月14日(土)午後2:00~3:00
■場所:UT Cafe BERTHOLLET Rouge
(東京大学 本郷キャン パス 赤門横)
http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/access.html
■料金:500円(ドリンク付き/要予約)
■定員:15名
■申し込み方法:
(1)お名前(2)ご所属(3)ご連絡先(メールアドレス)(4)このイベントをお知りに
なったきっかけ、をご記入の上、utalk2011@ylab.jp までご連絡ください。
申し込み〆切は5月6日(金)とさせていただきます。
希望者多数の場合、抽選とさせていただきます。ご了承ください。
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┃│ 編 集 後 記 ┠──────────────────────┤
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Beating83号はいかがでしたでしょうか。
昨年度までの担当・椿本に代わり、今号から「Beating」編集担当と
なりました高橋 薫(たかはし かおる)と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。
震災後の節電対策として、学内ではエアコンを切って仕事をしていましたが、
ようやく手がかじかむことなくキーボードを打てるようになってきました。
心落ち着かない日々が続いていますが、こんなときこそ、教育は
地に足をつけて一歩一歩進んで行きたいですね。
それでは、また次号でお会いしましょう!
ご意見・ご感想をお待ちしております。
「Beating」編集担当 高橋 薫 (たかはし かおる) kaorutkh@beatiii.jp
-------次回発行は5月31日の予定です。
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「Beating」編集担当 高橋 薫 kaorutkh@beatiii.jp
(東京大学大学院情報学環ベネッセ先端教育技術学講座 特任助教)
□「BEAT」公式Webサイト http://www.beatiii.jp/?rf=bt_m083c
□発行:東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」
Copyright(c) 2011. Interfaculty Initiative in information Studies,
The University of Tokyo. All Rights Reserved.
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