Beating 第14号
「5分でわかる学習理論講座」
第3回:学習を「個人の営み」ではなく、「社会的な営み」として捉え直す〜「社会的構成主義」
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東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」
メールマガジン「Beating」第14号 2005年7月28日発行
現在登録者615名
「5分でわかる学習理論講座」第3回:学習を「個人の営み」ではなく、
「社会的な営み」として捉え直す〜「社会的構成主義」
http://www.beatiii.jp/
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こんにちは。毎日暑いですねー。
そんな暑さに負けそうになりながらも、「夏」に関することに思いを巡らせ
るとなんだかワクワクしてきません?
夏休み、花火、海、夏祭り、スイカ・・・公開研究会(?)。
8月6日(土)には公開研究会BEAT Seminarを開催します。ワクワクのひと
つに加えてほしいなー、と思います。みなさんのご参加をお待ちしており
ます。
では、Beating第14号のスタートです!
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┃★CONTENTS★
┃■1. 特集:2005年度Beating特集「5分でわかる学習理論講座」
┃ 第3回:学習を「個人の営み」ではなく、
┃ 「社会的な営み」として捉え直す〜「社会的構成主義」
┃
┃■2. 【お知らせ】公開研究会「BEAT Seminar」2005年度第5回
┃ 8/6(土)開催!
┃
┃■3. 【新企画】「BEAT研究 Who's Who」
┃ 〜BEAT研究者の素顔と、オススメWebサイトのご紹介
┃
┃■4. 編集後記
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■1. 特集:2005年度Beating特集「5分でわかる学習理論講座」
第3回:「社会的構成主義」
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今年度のBeatingでは、BEATの研究をより理解していただくために、背景と
なっているさまざまな学習に関する理論を、1年間でみなさんとともに学ぶ
ことを目的とした「5分でわかる学習理論講座」を開講しています。
1カ月にひとつずつすぐに応用可能な理論・方法を中心に、情報技術を用い
た学習環境に関する注目理論・キーワードについて解説していきます。
「なにそれ?ハツミミ?」という方も、「なんか聞いたことはあるけど…」
という方も、「すでに知ってるゾ!」という方も、それぞれにきっと新し
い発見があるはずです。
BEATの研究対象である「学習」とは、これまでどのように解釈され、こ
れからどのように捉えていくべきなのか、その大きな問いに立ち向かうた
めに、これまでの学習観の流れをおさえておくことが重要です。学習観は、
前回の特集でレビューしたように、行動主義から構成主義へと流れてきた
ものの、徐々に、次なる変化への波が押し寄せてきます。そう、私たちが
生きる現実は複雑に入り組んでいて、モノゴトにはいろんな捉え方があり
ます。
今回のテーマは「社会的構成主義」。さて、どのようなものでしょうか?
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「社会的構成主義」
「学習は個人の活動であり、学習の効果は個人の能力として評価される」
わたしたちは「学習」についてこのような側面があることを知っています。
たとえば、今、テストを例にお話ししましょう。通常、人の手を借りてテ
ストを受けるのはカンニングと言われますね。通常の学校教育の現場では、
わたしたちは、「他者の助けなし」で有能であることが求められているの
です。学習はあくまで個人のものです。
しかし、ひるがえって、日常生活に話を戻します。
たとえば、今仮に、仕事場を思い浮かべましょう。ある研究の知見により
ますと、わたしたちが、仕事場で行う90%以上のタスクは、あなたが一人
で取り組むのではありません。他人に知恵を借りたり、お互いにできない
部分を補いあったり、得意な部分を活かしあったりして、仕事を達成して
いるのです。
先ほどの学校生活と違って、日常生活においては、わたしたちは、一人で
「有能」であるわけではありません。様々な人々と一緒に、彼らとともに
「生きる」ことで、有能に振る舞っているのです。
このように日常生活では、わたしたちは、人々とコミュニケーションをと
りながら、知的に振る舞います。そしてそこで実施される学習も、決して、
個人の中だけに閉じているものではありません。わからないときは、先達
の知恵を聞きます。より有能な人から、手助けを得て、知恵をもらいつつ、
わたしたちは、日々生きています。
同じくらい有能な同僚との対話によっても、人は、学べます。あなたは今、
Aということをよく知っている。そして同僚はBを知っている。Aについ
てよく知っているあなたと、Bについてよく知っている同僚が対話をすれ
ば、Cという新しい価値、新しい知識が生まれる可能性があります。
もちろん、お互いに「行き着くところは同じではない」かもしれない。あ
なたはAについて「より知ること」ができる。同僚はBについて、新たな
見方ができるようになる。人が集まり、何かについて話し合えば、必然的
に説明をする必要に迫られます。こうして、相互に学びが深まる可能性が
ありますね。
今回のテーマである、社会的構成主義は、上記のような事例に典型的にあ
らわれています。
前回の行動主義と構成主義を捉えるうえでのポイントは、学習を「受動的
なもの」から「能動的なもの」として捉え直すということでした。今回の
社会的構成主義においてポイントとなるのは、学習を「個人の営み」では
なく、「社会的な営み」として捉え直すという点です。社会的構成主義は、
「学習を含めて、世の中の事物が社会的に構成されている」と考える哲学
的立場のことをいいます。誤解を恐れず、簡単に言います。
あなたは、学習なしでは生きていけない。
しかし、学習は一人きりでは成立しない。
だから、あなたは一人きりじゃ生きていけない。
一見、下手な作詞家の書いた「ラブソングの歌詞(!?、浪花節か?)」の
ようですが、社会的構成主義的な観点から、教育や学習の問題を見直した
場合、このようにたとえることができるのではないかと思います。
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●我コミュニケーションする、故に、我ありし
前回あつかった、ピアジェによる構成主義は、彼が理論の基礎を「生物学」
においたこともあり、人間の学習や発達を個人と環境(自然や物など)と
の相互作用の中で捉えるものでした。そこには「他者」は想定されていま
せんでした。
これに対して、人間の発達や学習を考える際に、社会的文化的な背景や、
他人との相互作用などを重視し、社会的な相互交渉の過程でこれらを捉え
る立場が、社会的構成主義です。誤解を恐れず、またまた、一言で言いま
す。社会的構成主義は、学習を考える際に、「他者」と「自分」との関係
を見るのです。
我思う、故に我あり
これは有名なデカルトのテーゼです。コギト・エルゴ・スムですね。わた
しという個人が思考する、それ故に、わたしの存在がある。ピアジェの構
成主義をたとえて言うならば、こうなるのかもしれません。
それでは、社会的構成主義を、このデカルト風に言い直すと、どうなるで
しょうか。
我コミュニケーションする、故に、我あり
やや字余り(!?)ですが、こうなります。
まずは他者がいる。そうして、他者とのあいだにコミュニケーションがあ
る。その果てに、わたしという存在があり、学習がある。
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●ヴィゴツキーの「最近接発達領域」理論
学習の社会的・文化的側面に焦点をあて、いくつもの重要な知見をもたら
した研究者として、ロシアのヴィゴツキーがあげられます。
彼の提唱した「最近接発達領域」という理論は、子どもが成長していく過
程で、その周りの人たちが果たす役割の重要性について言及したものです。
直接、彼の理論が社会的構成主義に関連はしませんが、その骨子は共鳴す
るところがありますので、ここで紹介します。
「最近接発達領域」とは、学習が周りの支援がなくとも1人で問題を解決で
きるレベルと、その問題解決の過程に教師や仲間の援助が介在したときに
達成される発達のレベルとの間に存在する領域のことをいいます。
彼はこの考えの中で、知的な能力は他人との関わり合いの中から発達する
ということを主張しました。つまり、彼は子どもが成長するときに、家族
や大人、仲間と共同にやることが重要であるということをはっきりと提示
したのでした。
もしかすると、これを読んでいる方の中には、「そんなことはアタリマエ
のコンコンチキだ!」とおっしゃる江戸っ子もいらっしゃるかもしれませ
ん。そうなんです、アタリマエのことなんです。
しかし、従来の心理学、学習論には、「学習における他者の存在」という、
「アタリマエマエダのクラッカー(しつこいね・・・)」的存在が、すっ
ぽりと抜け落ちていたのです。
ヴィゴツキーは夭折の心理学者です。しかし、彼がこれらの指摘は、後世、
ジェローム=ブルーナ、マイケル=コール、といった心理学者に受け継が
れ、現在の教育現場に強い影響を与えました。
第4回BEAT Seminarでとり上げた、「CSCL:コンピュータを活用した協調学
習」は、まさにこうした社会的構成主義的な観点を教育に利用した学習環
境といえるでしょう。
それまでの学習システムは、一言で言えば、「暗記を効率よくすすめるシ
ステム」「知識伝達の効率化のためのシステム」でした。「それまでの」
と書きましたが、今だって、それはたいした変わっていません。世の中で
市販されている多くのソフトウェア、多くの教材は、ほとんどこの系譜に
属するものです。これについては、11月のBEAT Seminarでとりあげますの
で、お楽しみに!
しかし、1980年代後半、CSCLがオギャーオギャーと産声をあげたとき、こ
うした支配的な「学習システム観」に異を唱えたことが画期的でした。学
習者同士が互いにコミュニケーションをとる。「知識を伝達」するだけで
なく、「学習者がコミュニケーションを通じて知識を構築すること」を支
援することにも、テクノロジーを活用することができるぢゃないか! イ
ンターネットを使えば、それができるぢゃないか!、と、CSCLの研究者た
ちは、口角泡をとばしながら(汚い)、熱心に研究に取り組んだのです。
誰もがインターネットを使い、誰もが日々携帯電話でメールをやりとりす
る現代。そんな「今」から考えれば、CSCLのインパクトも薄れて感じるの
かもしれません。街を闊歩するワカモノは、日々、これらのメディアを用
いて、コミュニケーションをとったり、日常的な問題を解決しています。
彼らの生き方そのものが、もはやCSCL的なのかもしれません。しかし、そ
れが主張された当時は、多くの研究者は、ある種の興奮状態で、これを研
究したのです。
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●まとめ
構成主義では、学習を受動的ではなく、能動的なものであるということを
主張しました。しかし、ピアジェの働きかけの対象は物や自然が中心であ
りました。
そこで、社会や文化、他者の重要性に注目したのが社会的構成主義です。
協調学習、学習環境デザインということもまさに、この考え方のうえに成
り立っています。社会的構成主義の理論により、学習が生まれる相互作用
の場には何が必要か、どのような相互作用が生まれれば人は学習できるの
か、といった、動的な学習プロセスを捉えることができるようになります。
そして現代のさまざまな制約の中で、そのような学習プロセスをどのよう
に実現していくのかということがまさに、研究するべき問題であるといえ
ます。
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●参考文献
『社会構成主義の理論と実践−関係性が現実をつくる』
K.J. ガーゲン(著) 永田素彦・深尾誠(訳) ナカニシヤ出版
【ご購入したい場合はコチラ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4888488649/
『あなたへの社会構成主義』
K.J. ガーゲン(著)東村知子(訳) ナカニシヤ出版
【ご購入したい場合はコチラ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4888489157/
『幼児教育へのいざない 円熟した保育者になるために』
佐伯胖(著) 東京大学出版会
※ピアジェが乗り越えられる経緯についてわかりやすく書かれています。
【ご購入したい場合はコチラ】
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0001400625/
『「発達の最近接領域」の理論—教授・学習過程における子どもの発達』
ヴィゴツキー(著) 土井捷三・神谷栄司(訳) 三学出版
【ご購入したい場合はコチラ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4921134588/
『ヴィゴツキーの新・幼児教育法—幼児の足場づくり』 (2001)
ローラ・E. バーク (著) アダム ウィンスラー (著) 田島 信元 (訳)
玉置 哲淳 (訳) 田島 啓子 (訳) 北大路書房
※幼児の発達・教育とヴィゴツキー理論の関わりが、ピアジェ理論との比
較も含めわかり易くまとめられています。
【ご購入したい場合はコチラ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4762822310/
(特集記事協力:
中原淳/BEATフェロー・東京大学大学総合教育研究センター 講師
松河秀哉/大阪大学大学教育実践センター教育交流部門 助手
舘野泰一/青山学院大学文学部教育学科 4年)
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今回は「社会的構成主義」について取り上げました。それは学習を社会や
文化、他者の重要性に注目し「個人の営み」ではなく、「社会的なもの」
として捉え直すものです。
そこで、次のギモンとして沸き上がってくるのが、社会や文化、他者が重
要って一言でいうけど、それって範囲が広すぎない?なんか定義があるん
じゃないの?ってことです。そういうギモンを解決するために、次回は
「実践共同体」をとりあげます。「実践共同体」とはどんなものか?今回
の社会的構成主義でのギモンは解決されるのか、乞うご期待。
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ここで、この講座をよりよく理解するための、課題図書ともいうべき一冊
をご紹介しておきます。
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『「未来の学び」をデザインする』
美馬のゆり・山内祐平(著) 東京大学出版会
http://www.utp.or.jp/shelf/200504/053078.html
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特に、巻末の参考文献リストは、これからこの講座で紹介していくさまざ
まな学習理論の参考図書がよくまとまっています。
では、「5分でわかる学習理論講座」次号もどうぞお楽しみに!
ご感想・ご意見もお待ちしております。
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■2.【お知らせ】公開研究会「BEAT Seminar」第5回 8/6(土)開催のご案内
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2005年8月6日(土)、「BEAT」では、2005年度第5回目の公開研究会を開
催します!
「BEAT」の研究内容や、教育に関するIT技術利用に関する最新動向などをテ
ーマにした公開研究会です。開催情報は、今後も公式Webサイト、メールマ
ガジン「beating」でご案内を差し上げます。
2005年度の公開研究会は、「デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロ
ジー」と題し、古今東西のデジタル教材をレビューすることによって、みな
さまと一緒に教育を支える新しい人工物の姿を考えていきます。
この公開研究会でレビューした教材を中心に、来年次のような本の出版を予
定しています。
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「デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー」(仮称)
2006年春出版予定
ベネッセ先端教育技術学講座(編著)
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第5回となる今回のテーマは「シミュレーション」です。
「シミュレーション」はデジタル教材のひとつのジャンルです。このジャ
ンルには、例えば、数学における作図ツールや物理シミュレーションなど
が含まれます。
研究会では、代表的なシミュレーション教材を取り上げて紹介しながら、
広範な範囲をもつこのジャンルを概観します。
また、シミュレーションを使うことで何が学べるのか?について、いくつ
かの見解をとりあげて、整理していきたいと思います。
—————————【第5回 公開研究会 概要】————————————
●テーマ
「デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー」
第5回:「シミュレーション」
●日時
2005年8月6日(土曜日) 午後2時〜午後5時
●場所
東京大学 本郷キャンパス 情報学環暫定ANNEX 2F教室
http://www.beatiii.jp/images/sem13-map.gif
●定員
40名(お早めにお申し込みください)
●参加方法
参加希望の方は、BEAT Webサイト
http://www.beatiii.jp/seminar/
にて、ご登録をお願いいたします。
●参加費
無料
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■3. 【新企画】
「BEAT研究 Who's Who」
〜BEAT研究者の素顔と、オススメWebサイトのご紹介
今回は・・・
BEATアソシエイツ・神戸大学学術情報基盤センター助手 望月俊男先生
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さて、今月からの新企画です!
BEATがはじまって1年あまり。おかげさまで、BEATのコンセプトに賛同し
た強力な研究者が、BEATメンバーとして名を連ねてまいりました。
(↓その強力なラインナップはコチラ:BEAT Webサイトメンバーページ
http://www.beatiii.jp/member.html)
みな個性あふれるステキな人たちばかりですので、ぜひ皆さんにBEATメン
バーをよく知ってもらいたいと考え、このメルマガでBEATメンバーたちが
それぞれ自己紹介をするコーナーをはじめたいと思います。
さらに、自己紹介だけでは物足りないぞ、という欲張りなみなさんのために、
普段の研究・興味・関心をベースに、研究を行う際や資料を検索するときに
役立つサイト、または必ず毎日目を通すサイト、情報ネタとして利用してい
るサイトなど、オススメWebサイトを紹介していただくことにしました。
ここで紹介するBEATメンバーたちは、公開研究会に限らずいろいろな場に出
没(?)しますので、本人を見かけたら、この記事をネタにどんどん話しか
けてみてくださいね。
第1回目となる今回は、BEATアソシエイツで神戸大学学術情報基盤センター
助手の望月俊男先生に、自己紹介とオススメWebサイトをご紹介していただ
きました。
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●自己紹介
はじめまして。望月俊男と申します。
神戸大学の学術情報基盤センターで助手をやっております。専門分野は教育
工学、とくにコンピュータに支援された協調学習(CSCL)やeラーニング
について,評価やその方法について研究をしています。
最近では、協調学習で学ぶ人たちが、自分や他のメンバーはオンライン議論
でどのように内容面でコミットしているのかとか、プロジェクト学習の進捗
状況はどうなのか、といったことを自己評価するための方法や、その支援シ
ステムについて研究しています。
BEATでは、OYAKO de Scienceプロジェクトに参加しています。これまで
メンバーみんなで先行研究調査やコンセプトメイキングをしてきましたが、
今後は、モバイルを利用した協調学習環境の評価を、とくに"ある観点"から
担当していきます。
実は、教育工学についての勉強や研究を始めたのは修士課程以降で、まだ研
究者としては全くの駆け出しのペーペーなのですが、こんなにいろいろ楽し
いチャンスを与えていただいて本当にありがたいです。
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●オススメWebサイトのご紹介
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・毎日インタラクティブ教育ニュース
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/
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今回、オススメWebサイトを1つご紹介…ということで、すごく悩みました。
僕の専攻しているCSCL関係は、すでにBEATフェローの中原さんのWebサイ
ト(※)に素晴らしいリンク集があります。なので、ご存じの方にはとても
ベタなのですが、ご存じない方もいらっしゃるかと思いまして、広く情報メ
ディアを利用した教育を取り扱うサイトを取り上げてみました。
このサイトのオイシイところは,eラーニングや情報教育にとても強く、この
関係に興味のある方にとっては、かなりタイムリーにいろいろな情報を仕入
れることができることです。調べたのですが、実は本紙にはあまり掲載され
ない内容が多くて、Web版ならでは!という情報なのもいいですね。また、
結構マニアックなことまで取り扱ってくれているので重宝しています。もち
ろんBEATセミナーに行けなかったときも,BEATサイトよりも先に速報が出
るのでありがたいです(笑)。
このサイトは、だいたい3日おきくらいにダイジェスト版をメールで配信し
てくれるのも便利ですね。結構忙しいと、タイムリーに情報をつかむのって
難しいですよね。早朝に配信されるメールを見て、見たい記事のURLをどん
どんクリックしていく感じで使ったりしています。朝自分の研究室に行って
から、コーヒーを飲みながら見て、1日のエンジンをかけています。もちろ
ん、息抜きに、ダイジェストに取り上げられていない記事を探してみたりす
ることもありますよ。
※BEATフェロー中原先生のWebサイト
http://www.nakahara-lab.net/
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●さらに、次回の担当者をご紹介いただきました!
さて、機内食で「Beef or Chicken?」と聞かれて「Both」と答える方は結
構いるみたい(?)ですが、たぶん研究者で元祖はこの人! BEATアソシエ
イツの山口さん@宮崎大が次回の担当です。
山口さんは僕よりもずっと先輩ですが,いつも少年みたいに明るくて元気な
方です。そして文献をとてもたくさん読み込んでいらっしゃるすごい方です。
ITを利用した科学教育がご専門です。よろしくお願いします!
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望月先生ありがとうございました。
来月からもこのように、個性あふれるBEATメンバーをご紹介していきます。
ご期待ください。
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■4. 編集後記
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最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
Beating第14号はいかがでしたでしょうか。
梅雨も明け、夏本番ですね。夏休みの予定はもう決まりましたか?海にでか
ける方もきっと多いことでしょう。そこで、ちょっと素朴な疑問をひとつ。
「もともと水は透明なのに、どうして海の色は青いの?」
って、みなさん不思議に思ったことありません?手やバケツにすくった海水
は透明なのに、見渡す大きな海原は青く見えますよね。さて、どうしてでし
ょうか?それはね……。
水分子は、もともと赤い光を吸収する性質を持っています。しかし、その吸
収率は非常に弱いため、少量の水ではその現象は確認されにくく、無色透明
に見えます。一方で、数メートル、数十メートルの水深になると赤い光は目
に見えて減少します。そこで、海面を上から見れば、水に吸収されない青い
光が、水中の微生物や塵に反射され水面上に再び出てくるので、水は青く見
えるというわけです。
一応調べたので書いてみましたが、別に海の色のトリビアやウンチクを披露
したいわけじゃありません。強調したいのは、「そもそも」というところに
疑問を持つ視点を大事にしたいなということです。前回と今回「5分でわか
る学習理論講座」で扱った内容は、「そもそも『学習』ってどういうこと?」
に関するものでした。BEATでも、研究に関わるいろいろな場面でこの「そ
もそも」ということをいつも考え、しっかりした基礎基盤をもてるよう努力
しています。
忙しく過ぎてしまう毎日ですが、ふと立ち止まって「そもそも」と考えてみ
るといろいろ見えてくるかもしれません。でも、「そもそも」と考えはじめ
ると深みにはまっていってしまうことも事実なんですよねー……。大切なの
は多角的な視野を行き来すること、でしょうか。難しいところ。
と、考えているうちに今年の夏が終わってしまわないように、夏を満喫して
くださいね。では、次号のBeatingもお楽しみに。
「Beating」編集担当
八重樫 文
kazaru@beatiii.jp
-------次回発行は8月第4週頃の予定です。
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「Beating」編集担当
八重樫 文
(福山大学 人間文化学部 人間文化学科
メディアコミュニケーションコース 専任講師)
kazaru@beatiii.jp
□「BEAT」公式Webサイト
http://www.beatiii.jp/
□発行
東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」
Copyright(c) 2005. Interfaculty Initiative in information Studies,
The University of Tokyo. All Rights Reserved.
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